第六十六話
0.5cmで迷ったら?
「MとL、私にはどちらがいいですか?」
サイズ選びに迷われたお客様から、
よくこんな質問をいただきます。
例えば、
足長が24cmくらいの方。
hiteteシリーズなら、
下駄台の実寸23.5cmのMと、
24.5cmのL。
どちらを選んでも、
その差はたった0.5cmです。
「大は小を兼ねるから、
Lの方がいいかな。」
という方もいれば、
「下駄はかかとが
少し出るくらいがいいんですよね?」
と、Mを選ぼうとする方もいらっしゃいます。
そんな時、
私はいつも、
「一度、履いて歩いてみてください。」
とお伝えします。
そして、
「歩いた時に、
下駄台が足にくっついてくるように感じる方が
おすすめですよ。」
と。
実際に歩き比べていただくと、
「ああ、なるほど。」
と納得される方が
ほとんどです。
mizutoriの下駄は、
一部の子ども用とスリッパ系を除いて、
1cm間隔でサイズをご用意しています。
木を一つひとつ加工することを考えれば、
もっと大まかなサイズ展開の方が、
つくる側としては楽です。
在庫の管理だって、
その方がずっと簡単です。
それでも1cm刻みにしているのは、
できるだけご自身の足長に合ったものを
選んでいただきたいからです。
mizutoriが目指しているのは、
下駄台が足裏にくっついて、
まるで足と一体になったように
歩ける履き心地です。
台に施した彫りに
足裏がちょうどよく収まり、
足指で鼻緒をつかみながら、
下駄台を持ち上げるように歩く。
そのため、
「ゆるい方が楽そう。」
と大きめを選ぶと、
歩くたびに下駄台が
パカパカと遅れてついてきて、
だんだん台の重さと疲れを
感じることがあります。
また、
昔ながらの下駄や草履のように
かかとを出して履くと、
足裏と台の彫りの位置がずれ、
mizutoriが考える
本来の履き心地を感じにくくなります。
とはいえ、
足の形、
皮膚の強さ、
これまで履いてきた履き物、
心地よいと感じる感覚。
どれも、
人それぞれです。
「少しゆるく履く方が好き。」
という方もいれば、
「最初は少しきつくても、
履きながら馴染ませたい。」
という方もいます。
もちろん、
鼻緒は履いていくうちに
だんだん履く方の足に馴染んできます。
ただ、
最初から鼻緒がきつくて痛いのに、
無理に小さいサイズを
選ぶことはおすすめしません。
私たちは作り手として、
mizutori下駄を
快適に履いていただくための
ひとつの基準を
お伝えしています。
そのうえで、
最後に大切にしていただきたいのは、
実際に履いて、歩いた時の
ご自身の感覚です。
たった0.5cm。
数字だけを見れば、
ほんのわずかな違いです。
でも、
実際に歩いてみると、
「あ、こっちだ。」
と感じることがあります。
だから私たちは、
つくる手間や
管理するサイズが増えても、
できるだけご自身が快適に履けるサイズを
お選びいただけるようにしています。
足と下駄が、
気持ちよく一緒に歩いてくれる。
そんな感覚を得られる一足を
選んでいただくこと。
それが、
mizutoriの履き心地を完成させる
最後の仕上げなのだと思っています。













