第五十八話
下駄の魅力は「脱ぎやすさ」⁉ ―私が下駄を選ぶ理由―
7月に入り、
いよいよ夏本番。
花火大会や夏祭り、
旅行や帰省など、
夏のお出かけが楽しい季節になりました。
一年の中でも、
下駄が一番活躍する季節です。
とはいえ私自身は、
夏に限らず、
一年の大半を下駄で過ごしています。
「やっぱり下駄屋さんだからですね。」
とよく言われるのですが、
今日はその少し意外な理由をお話ししたいと思います。
履き物屋に生まれ育っておきながら、
実は私、
できることなら、
何も履きたくないと思っているんです。
それくらい、
足が窮屈なのが大嫌いなんです。
よほど寒くなければ、
靴下さえ履きたくありません。
幅広の足なので、
靴選びにはいつも苦労してきました。
お洒落な靴やサンダルを履くと、
指同士がぎゅっと押されて、
マメができたり、
足がしびれたり。
巻き爪に悩まされた時期もありました。
そんな私にとって、
下駄はうってつけの履物です。
足指を自由に動かせて、
風も通る。
長時間履いていても、
窮屈さを感じにくい。
だから一年中、
自然と下駄を選んでしまいます。
けれど正直に言うと、
その下駄からも、
時々足を解放したくなることがあります。
そんな時に思うのです。
やっぱり下駄って、
いい履物だなあと。
なぜなら、
すぐに脱げるからです。
これまで、
歩き方や履き心地、
鼻緒のこと、
コーディネートなど、
下駄を履いて歩くことについて
たくさんお話ししてきました。
でも実は、
私が一番好きなのは、
歩きやすさ以上に、
「足を休ませられること」です。
カフェでひと休みする時。
映画館で座った時。
新幹線や電車で移動している時。
ベンチで景色を眺めている時。
ほんの少し鼻緒から足を抜くだけで、
足がふっと軽くなります。
足指を動かしたり、
足裏を伸ばしたり。
少し休ませるだけで、
また気持ちよく歩き始めることができます。
歩きやすいことは、
もちろん大切です。
けれど私は、
歩くことと同じくらい、
足を締め付けない時間も
大切だと思っています。
下駄は、
歩くための履物でありながら、
必要な時に、
すぐ足を解放できる履物です。
だから長い時間のお出かけでも、
無理をせず、
自分のペースで楽しむことができます。
私たちmizutoriが目指しているのは、
ただ歩きやすい下駄ではありません。
たくさん歩いて、
少し休んで、
また笑顔で歩き出せる。
そんな時間に、
そっと寄り添える履物でありたいと思っています。
この夏も、
花火大会や夏祭りはもちろん、
旅行や街歩き、
お気に入りのカフェで過ごす時間まで。
mizutoriの下駄が、
足もとから
皆さまの夏を心地よく彩れたら、
とても嬉しく思います。
どうぞ素敵な夏を
お過ごしください。













