第五十四話
下駄で「神経衰弱」⁉
工場に木地が届くと、
mizutoriではちょっとした
「神経衰弱」が始まります。
mizutoriの下駄やスリッパには、
マホガニーや静岡県産ひのきなど、
天然の木を使っています。
天然木なので、
ひとつとして同じ木目はありません。
お店やウェブサイトで
商品をご覧いただいた時、
木目をじっくり見る方は
それほど多くないかもしれません。
けれど私たちのものづくりには、
実は隠れたこだわりがあります。
それは、
左右の木地の柄をそろえて、
一足のペアにすることです。
木地が届くと、
まずはじっと目を凝らして、
左右でぴたりと木目が重なる
相方を探します。
まるで神経衰弱です。
同じ柄同士が見つかったら、
離れ離れにならないように
番号を振ってセットにします。
その中には、
どうしてもぴったりの相手が
見つからない木地もあります。
そんな時は、
無理やり他と組み合わせたりしません。
一旦保留にして、
また次の検品で届く木地の中から、
運命の相手が現れるのを待ちます。
実はこの柄合わせ、
「two piece」という、
つま先とかかとの二枚の木板をつないだ商品では、
さらに大変です。
左右を揃えるだけではありません。
同じ足の、
つま先とかかとの木目まで、
自然につながるよう揃えています。
一足の中にある木板は、
全部で四枚。
そのすべての木目が、
美しく調和するように
組み合わせています。
私たちのものづくりは、
多くの工程を職人たちがつなぐ
分業制です。
途中で外注さんへ送り、
加工をお願いすることもあります。
もちろん、
離れ離れにならないよう
番号を振って送り出します。
けれど時には、
何かの手違いで、
パートナーが入れ替わって
戻ってくることもあります。
お客様が気づかれない部分かもしれません。
けれど、
そこはmizutoriのこだわりです。
戻ってきたものは、
製造ラインへ回す前に
もう一度確認します。
もしズレていたら、
再び正しい相方を見つけて
組み直します。
効率だけを考えるなら、
届いた順に左右を組み合わせた方が、
ずっと早く作れます。
相方を待ったり、
もう一度探し直したり。
手間のかかることかもしれません。
けれど履物は、
左右が揃って初めて、
息の合った一足になるものだと思います。
玄関に並んだ時。
ふと足元を見下ろした時。
無意識の中でも、
すっと心が整うような調和を
感じていただけたら。
そんな思いで、
私たちは今日も
神経衰弱をしています。
これほど左右の木目にこだわっていることは、
きっとご存知なかったのではないでしょうか。
もしお手元にmizutoriの履物がありましたら、
あるいはお店で出会う機会がありましたら、
ぜひ木目をじっくり眺めてみてください。
そこに、
作り手の小さなこだわりを
感じていただけるかもしれません。













