第四十六話
創作下駄 ―発想をかたちにする―
mizutoriでは、
社内での商品開発だけでなく、
さまざまなデザインを具現化する取り組みも行ってきました。
そのひとつに、
地元で開催されている
「夢デザインコンテスト」があります。
子どもたちが静岡の地場産業の中から業種を選び、
「あったらいいな」と思う商品を自由にデザインする企画です。
私たちもこれまでに、
下駄を選んでくれたお子さんのデザインを
実際にかたちにしてきました。
そこには、
大人には思いつかないような、
自由でのびやかな発想が詰まっています。
そして時に、
「はっ」と気づかされるような
視点に出会うこともあります。
例えば、
剣道を習っているお子さんが考えてくれたのは、
道場へ通うときに履くための下駄でした。
帰り道は暗くなることが多いからと、
鼻緒に反射材を取り入れたデザインです。

日常の中で感じていることが、
そのまま自然に形になっていることに、
思わず感心させられました。
また、デザインを学ぶ学生さんからは、
下駄と地下足袋を組み合わせたような
新しい履物の提案もありました。
細かな花柄の彫りや、
生地の配色まで丁寧に描き込まれたそのデザインは、
具現化するには多くの試行錯誤が必要でしたが、
とても印象的な一足に仕上がりました。

こうした取り組みでは、
普段のものづくりとは少し違った向き合い方になります。
効率や量産性、
履き心地のバランスといった
通常であれば大切にしている基準をいったん脇に置き、
まずはその発想をそのまま形にすることに向き合います。
ひとつひとつのパーツを丁寧に作り、
時間をかけて仕上げていく。
その過程は決して簡単ではありませんが、
普段とは違う思考を使いながら
ひたすら具現化に向き合う時間は、
私たちにとっても新鮮です。
子どもたちの発想は、
自由であると同時に、
暮らしの中にしっかりと根ざしています。
だからこそ、
そこにはこれからの地場産業にとっての
ヒントや可能性が数多く含まれているのだと思います。
地場産業は、
長い時間をかけて受け継がれてきたものです。
けれど今、
職人の減少などによって、
その多くが存続の岐路に立たされています。
そうした中で、
こうした取り組みを通じて
子どもたちが地場産業に興味を持ち、
その魅力に触れてくれることは、
これから先を考えるうえで、とても大きな意味を持つのではないでしょうか。
自由な発想が、
新しい視点を生み、
次の時代へとつながっていく。
その小さなきっかけが、
未来の地場産業を支える力になっていくことを、
私たちは願っています。













