第二十六話
贈る、というぬくもり — 歩みをともにする贈り物


年の瀬が近づくと、クリスマスやお歳暮、お年賀など、

大切な人への贈り物を考える機会が自然と増えていきます。

 

mizutoriの履物を贈られるお客様の中には、

「これからの歩みを健やかに」「新しい暮らしを心地よく」

という想いを添えて選ばれる方が多くいらっしゃいます。

 

古くから日本では、履物は“円満”や“調和”の象徴とされてきました。

左右がそろって初めて一足として成り立つ姿が、

二人が寄り添い、共に歩む姿と重なるからです。

 

また「一年のはじまりに新しい履物をおろすと無病息災につながる」

といった暮らしに根づいた風習も各地に残っています。

履物は、人の「歩む」という営みを支えるものとして、

古くから節目や祈りと深く結びついてきたのです。

 

mizutoriの下駄や室内履きは、

そうした日本の生活文化を、今の暮らしにそっと受け継いでいます。

 

結婚祝い、新築祝い、還暦(60歳)、古希(70歳)など──

人生の節目を迎える方へ贈られることが多いのも、

履物が持つ“歩み”の象徴が自然と喜ばれるからなのでしょう。

 

還暦には「赤」、古希には「紫」。

これは長寿を祝う色として古来より親しまれてきたもので、

赤には「生命の再生」「新しいはじまり」、

紫には「気品」「徳を重ねた年齢を敬う」という意味が込められています。

 

こうした色にちなみ、赤や紫を基調とした鼻緒の下駄を

ご家族へ贈られることも少なくありません。

 

鼻緒のある履物は、足指を自然に使いながら歩けるのが特徴です。

静岡大学との共同実験では、mizutoriの履物を日常的に履くことで

足の筋力が高まり、姿勢の安定や冷えの軽減などの変化がみられました。

 

専門家からも、足指を使うことで下肢の筋肉が活性化し、

血行改善やバランス能力の向上につながるというコメントが寄せられています。

 

年齢を重ねても、健やかに、美しく、自分の足で歩き続けてほしい──。

そんな静かな願いを託して贈られる一足には、

ただの“物”を超えた、あたたかな意味が宿っています。

 

mizutoriの履物は、

贈る人の想いと、贈られる人のこれからをそっとつなぐ存在。

華やかさだけでなく、日々に寄り添うぬくもりを大切に。

 

心をのせて縁をつなぐ、やさしい贈り物として

これからも、暮らしの傍にいられる存在でありたいと思います。






次回に続く