第十九話
漆塗り下駄の擬人化!?
前回お話しした会津の坂本乙造商店とのコラボ商品、mizutoriの漆下駄。
実はこの漆下駄には、ちょっとユニークな“もうひとつの顔”があるんです。
それは、漆下駄の擬人化です!
その名も 「水鳥ここん」。
商品のカラー名(UR-01)から名付けられたキャラクターで、私たちは親しみを込めて「ここんちゃん」と呼んでいます。
「下駄屋がキャラクターを?」と驚かれる方もいるかもしれません。
実はこの発想こそ、mizutoriの“新しい挑戦を楽しみたい”という気持ちから生まれたものでした。
下駄という日本の履物文化に、あえて遊び心を吹き込む――そんな取り組みを通じて、多くの人に下駄の魅力を知っていただきたいと考えたのです。
学生との出会いから広がる物語
この漆下駄の擬人化プロジェクトは、宝塚大学とのご縁から始まりました。
学生のみなさんと一緒に取り組むことで、私たちだけでは出会えなかった刺激や発想に触れることができました。
「一緒に作り出す」ことの喜びや意義を強く感じられたのは、産学共同プロジェクトならではの収穫です。
2017年の展示会で初めてここんちゃんをお披露目したときには、
「えっ、下駄にキャラが!?」と多くの方が立ち止まり、驚きながらも楽しそうにご覧くださいました。
キャラクターをきっかけにmizutoriを知り、遠方から静岡まで足を運んでくださったファンの方もいらっしゃいます。
たったひとつの小さな試みが、人と人とをつなげてくれる――その手応えを実感しました。
これからの「ここんちゃん」と仲間たち
とはいえ、ここんちゃんの魅力をまだ十分に活かしきれているわけではありません。
これから再び命を吹き込み、mizutoriの一員として歩んでもらえることを期待しています。
コンシェルジュとしてお客様からのご相談にお答えしたり、静岡の伝統産業である下駄の物語を届けたり。
かわいらしい姿を通じて、下駄の世界をもっと身近に感じていただけるようになるはずです。
さらに、ここんちゃんには姉妹たちも含め、すでに6人の仲間たちが生まれています。
今後この7人が、それぞれに個性を持ちながら活躍の場を広げてくれるでしょう。
mizutoriの下駄やブランドの物語を、キャラクターたちが代弁し、ときには物語として紡いでいく――そんな未来を思い描いています。
mizutoriが大切にしているのは、「ものづくりの中に驚きと楽しさを添えること」。
ジュエリーのような漆下駄を発表したのも、その一例です。
「下駄ってこんなに可能性があるんだ」と驚き、楽しんでいただきたい。
擬人化キャラクターもまた、そうした想いの延長線上にあります。
この挑戦をともに歩んでくださった宝塚大学には、感謝の気持ちでいっぱいです。
そしてこれから、「水鳥ここん」をはじめとするmizutoriのキャラクターたちがどんな物語を紡いでいくのか、ぜひ楽しみにしていてください。
次回に続く