第三十二話
晴れの日の足元に

 

新しい年が始まりました。
お正月ムードから少しずつ日常へと戻っていくなかで、
この一年をどんな歩みで重ねていくのか、
そんなことを思いながら、mizutori2026年がスタートしています。

今年も「よみもの」を通して、
履物ひとつひとつに宿る温もりと物語を、
静かに、そして確かにお届けしていけたらと思います。

 

年が明けてまもなく、
姪が母校で行われた「二十歳の集い」に出席しました。

二十歳を祝う節目の日。
母親から譲り受けた艶やかな晴れ着に身を包み、
友人たちと再会できる、大切な一日です。

準備を進めるなかで、
彼女がいちばん気にしていたのは
「当日、ちゃんと歩けるかどうか」でした。

姪は、ヨチヨチ歩きができるようになった頃から
mizutori
の下駄を履いて育ちました。
成長に合わせてサイズを変えながら、
日常のなかで、自然と下駄に親しんできた一人です。



だからこそ、
履き慣れない貸衣装の草履で
足が痛くなってしまわないか、
早く疲れてしまわないか、
少し心配している様子でした。

卒業後、それぞれの道を進んでいる友人たちと、
晴れ着で神社へお参りをし、
街を歩き、写真を撮り、
久しぶりの再会を思いきり楽しみたい。

その大切な一日だからこそ、
履き心地に不安のない履物を選びたい。
そう考えて、姪自身が選んだのが
mizutori
の下駄でした。


本来、和装のフォーマルな場では、
金襴などが施された、
かかとが5㎝程の草履が一般的です。
木製の下駄は音が鳴ることもあり、
どちらかといえば
カジュアルな履物とされています。

そうした考え方もあるため、
こちらからあえて
mizutori
の下駄を勧めることはしませんでした。
それでも、晴れの日の足元として
選んでもらえたことは、
正直、とても嬉しい出来事でした。

当日。
姪は、ピンクの着物に合わせて選んだ
桜柄の鼻緒の塗り下駄を履いて
出かけていきました。


写真に写る笑顔は、終始自然なまま。
足元を気にする様子はなく、
歩き、話し、笑い、
特別な一日を心から
楽しめたようです。

あとで聞くと、
友人のなかには
履き慣れない草履で
足が痛くなってしまった人も
いたそうですが、
姪は一日中、
足元のことは
まったく気にならなかったのだとか。

それどころか、
下駄の履き心地を熱心に説明し、
宣伝までしてくれたそうで……
本当によく育ちました(笑)。

大切な人と過ごす、
かけがえのない時間。
その時間を、足の痛みを気にせず、
安心して楽しんでもらえたこと。

履物をつくる私たちにとって、
これほど嬉しいことはありません。

履物には、格やしきたりがあります。
それを大切にする気持ちも、
もちろん大事です。
そのうえで、
晴れの日の履物の選択肢のひとつとして
mizutori
の下駄がある。
そんなふうに
知っていただけたらと思います。


今回、姪が選んだのは既存の一足でしたが、
お時間をいただければ、
晴れ着に合わせた
オリジナルの下駄を
お作りすることもできます。

晴れの日の足元に、
安心と楽しさを添える存在として。

もし、これから迎える節目の日の足元について
少し考えてみたくなったら、
mizutori
の下駄を
のぞいてみてください。

また、
「こんな装いに合う一足はあるだろうか」
「オーダーで作ることはできるだろうか」
そんなご相談も、
どうぞお気軽にお寄せください。

新しい年もまた、
一歩一歩皆さまの時間に寄り添う一足を、
丁寧にお届けしていきたいと思います。




次回に続く