第二十三話
mizutori下駄との付き合い方2「直す・楽しむ」


mizutoriの下駄は、「壊れにくさ」ではなく「長く付き合い続けられること」を大切にしています。木だからこそ傷も欠けも生まれますが、それを前提に直して履く道筋を用意してきました。

 

■修理に込めたもの

mizutoriでは、履き慣れた一足を手放さずに使い続けられるよう、鼻緒のすげ替え、底ゴムの張り替え、台の補修などの修理メニューをご用意しています。工場には全国から修理品が届き、それぞれの想いがつまった一足をまた履ける状態へと整えることは、私たちにとっても大きな喜びです。

ひとことで修理と言っても、一足ごとに状態も履き方も異なるため、慎重な作業が欠かせません。そのため、お戻しまでに数か月のお時間をいただいています。また、状態によっては新品と大きく変わらない費用がかかることもあります。それでも「直して履きたい」とお預けくださる方が多く、私たちの励みにもなっています。

とはいえ、やはり金額や期間の長さに修理を迷われる方もいらっしゃるのも事実です。

 

自分で直すという新しい選択

そうした背景から現在、ご自宅でもできる簡単な修理方法を動画でご紹介できないかと考えています。ホームセンターなど身近で手に入る道具を使えば、「かかとのゴムが減った」「細かいキズが目立ってきた」「ぶつけて少し欠けた」といったトラブルをご自身で解決することが可能になります。

自分で手入れをすることで、より気軽に履き続けられるだけでなく、その一手間が更なる愛着につながります。「直せる安心感」は、日常に履きものを迎える上で大きな支えになります。

 

■“直す”から“魅力に変える”へ

さらに将来的には元の状態に近づける修理に加えて、「キズや欠けを新たな魅力に変えるアレンジ修理」にも取り組んでいきたいと考えています。木の風合いを活かした塗り直しや、あえてデザインとして補修する方法など、キズ跡そのものを歴史や個性として楽しめる提案です。

木は使うほど表情が変わる素材です。完璧な姿を保つことよりも、変化していくことを前提に寄り添えるほうが自然です。

 

■職人に任せたい方へ

もちろん、従来どおり工場での修理受付も行っています。「自分では難しそう」「大事な一足だから職人に任せたい」という方は、どうぞ安心してご相談ください。

 

mizutoriの下駄は、履き捨てるものではありません。

 

木だからこそ、履く人とともに変化し、その変化を受け止める術をあらかじめ用意しておく。

「直して履く」という選択肢があることで、暮らしの一部として迎えていただける——私たちは、そんな存在でありたいと願っています。





次回に続く