第十五話
下駄は「多様性」の履物!?
最近よく耳にする「多様性」という言葉。
それは、違いを認め、互いを尊重しながら共に生きる、という素敵な願いが込められていますよね。
実は、私たちmizutoriの下駄も、この“多様性”の考え方と深くつながっているんです。
「一体どういうこと?」と、少しだけ不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
今日は、その魅力を少しだけ深く掘り下げてご紹介させていただきます。
唯一無二の物語を宿す、手作りの下駄
mizutoriの履物には、自然の恵みである天然木が使われています。
木の幹の上の方、真ん中、そして根元…使用する部位によって、台の重さや硬さ、そして色合いは少しずつ異なります。左右の重さや色味、木目をできる限り揃えるよう努めていますが、自然素材ゆえ、全く同じものにはなりません。
鼻緒(はなお)に使う布地も同じです。
職人が生地から型を抜く際、柄の出方に配慮しますが、大きな図案の生地では、裁断する場所によって表情ががらりと変わることも。
そして、mizutoriの下駄は、すべて職人の手作業によって一つずつ丁寧に作られています。
たとえ熟練の職人が同じ足型・同じサイズで鼻緒をすげたとしても、そこにはそれぞれの職人の「個性」が息づき、わずかな違いが生まれるのです。
そう、どんなに注意を払っても、この世に「全く同じ」mizutoriの下駄は存在しないのです。
違いこそが魅力。mizutoriは「一点物」の証
こうした一つひとつの「違い」は、決して欠点ではありません。
むしろ、mizutoriが何よりも大切にしている、かけがえのない魅力だと考えています。
機械で均一に作られる工業製品とは異なり、天然素材と職人の手から生まれる下駄には、それぞれに異なる個性と、温かみがあります。
鼻緒の生地も、デザイナーや作家、織物工房など、「作り手の顔が見える」ものを多く採用しています。だからこそ、一つひとつの素材を無駄にせず、その良さを最大限に生かしきる、そんな思いを込めてモノづくりに向き合っているのです。
あなたのもとへ届いた下駄に、もし色や柄、あるいはわずかな表情の違いを感じられたとしたら。
それは、手作りだからこその「味わい」であり、あなたと下駄との「特別な出会い」の証。まさに唯一無二の「一点物」として、そのご縁を楽しんでいただけたら嬉しいです。
多様なスタイルに寄り添う、日本の履物
mizutoriの下駄の魅力は、そのデザイン性にも表れています。
• 和装にはもちろん、デニムなどのカジュアルスタイルにもすんなり馴染む。
• 時には、ワンピースやドレスと合わせても不思議と品良くまとまる。
さまざまな好みや幅広いファッションスタイルに寄り添えるからこそ、mizutoriは現代の多様なライフスタイルに合った履物だと言えるでしょう。
下駄は約二千年前に誕生して以来、時代ごとの環境や暮らしの変化に柔軟に適応し、形を変えながら、現代まで日本の履物文化として生き残ってきました。まさにこの長い歴史こそが、「変化を受け入れ、進化してきた履物」であることの証ではないでしょうか。
多様なスタイルに寄り添う、日本の履物
下駄の個性が生き生きと輝くのは、何を隠そう、下駄を履く私たち一人ひとりが「唯一無二」だから。
体形や足の形は、誰一人として全く同じではありません。同じサイズの下駄でも、足の幅、甲の高さ、指の長さなど、本当に千差万別ですよね。
「心地よさ」の感じ方も人それぞれ。
だからこそ、少しずつ違う個性を持つmizutoriの下駄が、それぞれの足に不思議と馴染んでくれるのです。
違いがあるからこそ成り立つ関係――。
下駄はとてもおおらかで、私たち一人ひとりの多様な個性を受け入れてくれる、そんな懐の深い履物だと感じています。
足元から「違い」を楽しもう!
mizutoriの下駄は、「みんな違って、みんないい」という言葉をそのまま形にしたような存在です。
ぜひ、足元から心も軽やかに、多様性を楽しむように下駄を気軽に取り入れていただければ幸いです。
次回に続く