第六話
お客様の声から生まれた、ヒール下駄「hitete」
「げた物語」を世に送り出し、私たちは百貨店での催事など、お客様と直接お会いする機会を少しずつ増やしていきました。それまで下請け工場として材料加工に専念してきた私たちにとって、お客様の生の声を聞くことは、すべてが新鮮で、たくさんの気づきをもたらしてくれました。
中でも、特に多くの女性のお客様からいただいたのが、
「もう少しヒールのある下駄を作ってほしい」
というご意見でした。
「履き心地はすごく気に入っているけれど、普段履いているヒールに慣れているから、もう少し高さがあった方が歩きやすいのよね」
「デニムにはもちろん合うけれど、おしゃれをして出かける時は、もう少しエレガントなデザインだと嬉しいな」
「ヒールがある方がスタイルも良く見えるし、下駄でもヒールが欲しいんです」
お客様のリアルな声で、私たちのものづくり魂に火がつきました。そして、「げた物語」の心地よさはそのままに、ヒールのある下駄を作ろう。そう決意したのです。
「履きやすさ」を追求した、ヒール下駄の誕生
一口にヒールと言っても、ただ高さを出せばいいわけではありません。足が痛くなってしまっては、せっかくの履き心地が台無しになってしまいます。お客様のご要望に応えつつ、どうすれば最高の履き心地を提供できるのか。私たちのヒール下駄開発は、まさに試行錯誤の連続でした。
長年培ってきた女性用の靴の中底の知識を活かし、台は「げた物語」よりも少し細身にデザイン。安定感を確保するため、ヒール部分は地面との接地面を広めに設計しました。
ヒールの高さは、お客様の好みに合わせて選べるよう、疲れにくい4.5cmと、すっと歩きやすい6.5cmの2種類をご用意。鼻緒も「げた物語」同様、足をしっかりホールドする太めのデザインにこだわりました。
そうして、いくつもの試作を重ね、ようやくたどり着いた理想のカタチ。
それが、今ではmizutoriの人気商品となったヒール下駄「hitete(ハイテテ)」です。「hitete」は、お客様の「こんな下駄が欲しい!」という想いから生まれた、私たちにとって特別な一足なのです。
ぜひ一度、「hitete」の履き心地を体験してみませんか?
次回に続く