第三話
「このままではいけない」の想いが形に。原点回帰と革新の物語。<前編>


今回は、mizutoriの原点ともいえる商品「げた物語」がどのようにして生まれたのか、その開発ストーリーをご紹介します。



時代の変化が生んだ、未知への挑戦

私たち水鳥工業は、平成の初め頃まで、下駄の木地(木の部分)加工やサンダルの中底加工といった、いわば「縁の下の力持ち」として材料供給・加工を主な生業としていました。当時は、自社で製品を完成させ、独自のブランドを立ち上げるなど、想像もしていませんでした。

しかし、時代の流れは速く、日本の産業が次々に海外へ生産拠点を移す流れの中、材料の供給・加工だけでは事業の継続が困難な状況へと変化していきます。「このままではいけない」。私たちは、これまでの経験を活かしつつも、未知の領域である自社製品開発への挑戦を決意します。その最初の一歩が、この「げた物語」でした。




「なぜ下駄は履かれなくなったのか?」原点からの問い

当時会社の存続に強い危機感を感じた2代目社長水鳥正志は水鳥工業の原点である下駄を現代の履物として再び日常生活に復活させようとオリジナル商品の開発を始めました。

開発にあたり、まず私たちが考えたのは、「なぜ現代の生活の中で、下駄はあまり履かれなくなってしまったのだろう?」という素朴な疑問でした。

そこから見えてきたのは、現代人にとっての「下駄の課題」でした。

•    和のイメージが強く、洋風化した現代の服装や生活に合わせにくい。
•    硬い鼻緒で足が擦れて痛い。
•    鼻緒を調整してもらっても、自分の足にしっくりこなくて履きづらい。
•    履き慣れていないため、歩くとすぐに疲れてしまう。
•    アスファルトの道では、カランコロンという音が響いて気になる。

これらの課題を解決し、日常で気軽に快適に履ける”実用的な下駄を創る”こと。
それが自社製品の開発目標となりました。



こうして「mizutori」の代表作「げた物語」の開発がスタートしたのです。

後半へ続く・・・